万葉花さんぽ2006年10月19日 07時42分46秒

「万葉花さんぽ」
入江泰吉 小学館
文・中西 進

奈良の風景写真を撮り続ける入江さんの写真集は
ならを旅しているといたるところで見かけます。
すごく素朴というか、なんか視点がやさしいんですよね。
熱烈なファンという訳ではないんですが
たまにいい写真なんかをポストカードなどで買ったりします。

ならといえば万葉の都。
万葉集に登場する花々と、万葉集の話しを添えて。

万葉集は数種好きな歌はありますが
この本で、はっとして好きになった歌。

「人はみな 萩を秋という よしわれは 尾花がうれを 秋とはいいはむ」
作者不明

世間のみんなは、萩をみると暁だねーって言うけどさ
私はススキの方が秋らしくていいと思うんだけどな?

ってことなんですが。
なんか世間に同調できない訳ではないんだけど、
世間の皆様に、「萩 秋ですね~」なんて、いいながら
こっそり「でも、ぼくはススキの方がいいなー」ってぼっそり呟く青年
周りには笑顔で、ちょっとでも違う意見で和を乱してはなんだし…
と、気が弱いのか、優しいのか微妙…という感じ。

最初、なんでも世間に反発する青年を思い浮かんでいたんですが
入江さんの写真を見て
暖かい気分になって、そんなイメージになりました。

万葉集は、こんなに時代を超えた歌なのに
今の私たちとすごく共通する気持ちがあって
とても不思議ですね。