大学病院のウラは墓場 ― 2009年07月01日 18時16分52秒

大学病院のウラは墓場 医学部が患者を殺す
久坂部羊 幻冬舎新書
現役医者であり作家の久坂部羊さんのエッセイ
かなり衝撃的なことなどいろいろあります。
大学病院と、卒業して免許を取り立ての医者、
医局制度、全国の医師の状況などとてもリアルな現状が書かれています。
新人医師の医療事故が立て続いて、マスコミは医局をバッシング
その結果としてどんな事が起きているか、
マスコミは、一面を捲し上げるだけ捲し上げて、
医療を混乱させていることや、
良くも悪くも医局制度があったからこそ、日本の治療は保てていたなど。
事例として「大学病院というブランドだけで、安心してしまうのは危険」など、提言をしています。
新人医師は、どこかで患者を実験台にしないと、
いつまでたっても技術を磨くことは出来ない、
でも、患者はすべてベテランの医師に見てもらいたいと思っている、
その矛盾。
そんなことも含めて、医療関係者じゃない人、これから衣料を請けようと思っている人、是非一度読んでおいてほしい一冊です。
図書館の神様 ― 2009年07月02日 20時30分54秒

図書館の神様 瀬尾まいこ マガジンハウス
瀬尾さん作品です。
瀬尾さんの作品は独特の世界観というか、
「優しさ」があふれていますよね。
厳しい世の中化からすれば、「甘い、現実はそんなもんじゃない!」と
人生はそんなに甘くない!といいたくなることもありますが、
物語なんだもん、こんなやさしい世界があってもいいよな、って思います。
バレーボールの選手だった主人公が、
ある出来事をきっかけにバレーをやめて
国語の教師になったこと。
講師として派遣された学校で、文学部の顧問となり
一人の部員を通して、文学に触れたりしていきます。
その過程でのやり取りとか、一つ一つがやさしいと感じます。
いい作品ですよね。
さらっと読めるので、たまに疲れた時に読むのにいい一冊ですね。
A.R.Iのお菓子の提案 ― 2009年07月03日 20時36分14秒
日本人の死に時 ― 2009年07月04日 20時59分42秒

日本人の死に時 久坂部羊 幻冬舎新書
久坂部さんのエッセイ。
いやー、こういう考えがあるからこそ、「廃用身」などの作品が生み出されるんだな、とすごく納得。
日本人は長生きをしすぎなんだよなー、と思います。
病院で働いていて、避けることができない加齢で不自由な生活を余儀なくされる。
それでも死ねない苦しみというか…
テレビなどで放送されるのは
ごく一部の高齢でも元気な人ばかり。
あいういうふうに特に身体に不自由がなく
お金もある程度は使えて、なんてことだったら
そりゃあ、長生きしたいですが・・・
でも、なかなか難しいと思います。
癌で治療しないで60代で亡くなった医者の事例を読んで
それもありなのかなーと思ったりもします。
とりあえず、あと10年はできるだけ仕事をして、
ある程度お金を貯めて、その時には親の介護が始まると思うので
10年くらいは介護と仕事。
そのあとは見送ったら5年くらいは、自分に自由に生きてあとは、あまりの人生かなーと思います。
人生80年とは思えないので、60歳ぐらいをめどに 人生設計を立てつつあります。
だから、年金なんてもらえないとはわかっているんですが…
年金払ってないと、障害年金ももらえないんだよ
とりあえず、これは長生きということを
ダークな、でも真実を見せてくれる一冊です。
世界屠畜紀行 ― 2009年07月05日 21時20分36秒

世界屠畜紀行 : 内澤旬子 : 解放出版社
屠殺という言葉をご存じでしょうか?
牛や豚が食肉になる手前の出来事です。
食卓に上る、パックのお肉はどうやって出来上がるのでしょうか?
生きている牛や豚はどうやって処理されるのでしょうか?
先日、品川駅至近距離にある芝浦の
食肉市場の一般見学ができる資料館
「お肉の情報館」を見学してきました。
そこの閲覧コーナーで見つけた一冊。
日本の、そして世界の肉が食肉として
変化するいきさつをすべて綿密な取材をもとに イラストで描かれています。
私は牛や豚を処理してくれるなんてすごい!と思ったんですが
これが、大変微妙な問題であることを情報館で知ったのですが、
この意識の差についてもこの著書は韓国、エジプト、アメリカなどと日本を比較しております。
それにしても、この本はものすごい取材の量と
気合が入っているのを感じます。
ここ数年、これ程までに綿密に、文字の隅々から
著書の熱い思いが伝わる一冊があったでしょうか。
核心に迫る屠殺について、
ここではあえて「屠畜」という言葉にしていますが、
それに対する思い、社会的偏見など
目をそらすことなく、ちゃんと見つめています。
今後食肉市場を、じっくりと取材して同人誌として
私なりの 一冊を作りたいと本気で思った一冊です。
資料としてもとても貴重な本です。
世界情死大全 ― 2009年07月06日 22時23分58秒
アホの壁in USA ― 2009年07月07日 21時12分54秒

アホの壁in USA :
マイケル・ムーア(1954ー) /松田和也 柏書房
社会批判というか、アメリカ社会の真実を見ている(と思われる)マイケル・ムーア氏の、言いたい放題の一冊。
これを見るとアメリカの現実がよーーーく分かりますね。
アメリカ人のごく一部の人が富を得ていることなどなど、
知り合いが外資の会社にいますが、
情け容赦ないリストラが行われているらしくて、
アメリカの厳しさを垣間見ました。
マイケル・ムーア氏がアメリカの医療問題を題材にした「シッコ」という映画を見た事がありますが、これまたすごかったよな、。
自分の利益の為なら、他の人のことは全く考えない。
日本だって悪いところは山ほどありますが、
日本に生まれてよかったわ、と思います。
少女 ― 2009年07月08日 08時02分43秒

少女 湊かなえ 早川書房
「告白」で衝撃的なデビューをした湊かなえさんの2冊目。
告白程の衝撃や怖さを感じはしませんでしたが、
別の意味の怖さを感じました。
タイトルにもなっている少女、高校生の女性性とが主人公。
この年代は、学校裏サイトなどで
ネットの誹謗中傷にさらされている
そんな中に起きた出来事。
私が学生の時には、ネットなんてなかったから
こんな時代だったら、敦子のように感じてしまうんだろうなと
そういった怖さを感じました。
距離をおいた立場から見たら「よくあること」でも、
当事者になってしまったことでの恐怖があるよな、と思います。
それに複雑に登場人物が交差していくのが
とても面白く、一気に読んでしまいました。
メインの登場人物、由紀と敦子のすれ違っているようで
思いやっているところ、
前作の傾向からすると、最後が破滅するのかなと思っていましたが、
この2人は前向きでちょっと意外でしたが…
でも、ラストで、ああ、やはり湊さんの作品だと思いました。
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